インターネット証券のパイオニアとして、常にデジタルを活用した画期的な金融サービスを提供し続ける松井証券。同社では、イニシャルコストや維持管理コストが高いオンプレミス型のPBXからクラウドPBXへと電話環境のリプレースを検討していました。金融機関ならではの高度なセキュリティ要件を満たすことや、大規模災害発生時のDR対策強化などを条件に比較検討する中で選ばれたのが「 Zoom Phone(※1)」でした。
松井証券は2018年に創業100周年を迎えた証券会社です。長い歴史を持ちながらも、1998年には日本で初めて本格的なインターネット株式取引「ネットストック」を開始するなど、革新的なサービスを提供する企業として知られています。1990年代の金融自由化とネットストックのスタートを背景として、対面型証券会社からインターネット専業の証券会社に生まれ変わったことは、松井証券にとって大きな転機となりました。
その後も、インターネット証券としての強みを活かした斬新なサービスを数多く提供することで差別化を図ってきました。現在は、「お客様の豊かな人生をサポートする」という企業理念のもと、株式(日本株・米国株)、FX、投資信託、先物オプションなど個人投資家にとって価値のある商品・サービスを幅広く提供しています。
松井証券では自社の電話環境に関して、5年前に導入したオンプレミスのPBXを利用していましたが、リプレースの時期を迎える中で、機器保守管理の負担軽減を目指してクラウドPBXの導入を検討していました。DX推進企画・実行を担当するIT推進部長の小室理氏は、クラウドPBX検討の経緯をこう説明します。
「社内用の電話とともにコールセンターで使う電話もあるため、ラック型サーバーなどのハードウェアが20台ほど必要でした。台数が多いこともあり、アラート対応や毎月のパッチ対応などを課題に感じていました。コールセンターは札幌にあるため、故障などのトラブル発生時には東京から向かわなければならないことも大きな負担でした」(小室氏)
また、コロナ禍でテレワークをする社員が増えたことで、スマートフォンからも通話録音ができる機能へのニーズが高まっていました。こうしてクラウド型PBXへのリプレースを進める中で、先行してクラウド型コールセンターシステムを採用しました。
「以前は東京と札幌でオンプレミス環境を構築していたため首都圏被災時にもコールセンター業務の継続が可能な状況でした。一方、今回導入したコールセンターシステムは国内では首都圏にしかデータセンターがないため、DR(災害復旧)対策強化の必要性を感じていました」(小室氏)
コールセンターシステムと並行して、電話環境としてさまざまなクラウドPBX製品を検討していった松井証券。その中で「Zoom Phone」を選択する大きな決め手となったのが、首都圏と関西圏にデータセンターを持ち、首都圏での大規模災害発生時にも電話サービスが利用できる点でした。
「金融機関として、緊急時でも可能な限り取引業務を継続できる環境を構築することは責務だと考えています。また、インターネット証券である当社では、お客様をサポートするコールセンター業務は重要なサービスの1つと位置付けており、刻一刻と価格が変化する株などの取引に対して、継続的にサポートできることは欠かせない条件です。首都圏で地震などの大規模災害が発生した際にも、コールセンターシステムからZoom Phoneに切り替えてコールセンターを運用できる点には魅力を感じました」(小室氏)
また、証券取引のコンプライアンスの証跡として通話録音をすることが求められる業態であるため、追加コストが不要で通話録音データの保存が可能であることも評価したポイントだと小室氏は強調します。
「他社のソリューションも検討しましたが、通話録音は対応していなかったり、有料オプションとなったりするケースがほとんどでした。逆に、内線通話の場合には録音しない設定にもできる柔軟性があるため、使いやすさを感じました」 (小室氏)
こうしてDR対策が可能なクラウド型PBXソリューションであることが社内で評価され、Zoom Phoneの導入が進められていきました。
オンプレミス型のPBXからクラウドPBXへリプレースするにあたり、金融機関として重要な検討事項となったのがセキュリティでした。松井証券では、Zoom Phone導入に向けて、金融情報システムを構築する際のガイドラインであるFISC安全対策基準をベースとした確認項目を作成。米国公認会計士協会(AICPA)が開発したサイバーセキュリティ・コンプライアンス・フレームワークであるSOC2認証などを活用しながら、同社のセキュリティ要件を満たすことを確認していきました。
「SOC2認証で網羅できない確認事項に関しては、個別に確認していく方式を取りました。その際、金融業界の案件も多く手掛ける野村総合研究所(以下、NRI)の担当者さんが全面的に協力していただけたことで、問題なくセキュリティ要件を満たすことができたことには感謝しています」(小室氏)
IT機器管理の観点からはZoom Phoneを導入したことで、機器の保守管理業務を軽減できたことは大きなメリットになっていると小室氏は語ります。
「全体で約20台あったラック型サーバーをはじめとしたハードウェアが、相互接続装置(SBC:Session Border Controller)用の3台になったため、メンテナンスなどの運用負担を大幅に減らすことができました。保守作業・保守費用を削減できたことに加えて、サーバーや無停電電源装置(UPS)が不要になったことでハードウェア関連のイニシャルコストが10分の1ほどになったことは大きな成果だと感じています」(小室氏)
DR対策という観点では、首都圏と関西圏にデータセンターがあることで、首都圏で大規模災害が発生した際にも、スムーズに電話関連の業務を継続できる体制を構築できたことは安心感につながっています。また、ハイブリッドワークが広く活用されている同社において、Zoom Phoneはコミュニケーションの活性化にも貢献していると小室氏は話します。
「テレワーク時でも通話録音ができる機能は、金融機関である我々にとって非常に有用です。また、パソコンやスマートフォンから気軽に内線電話ができることは、社員間の円滑なコミュニケーションに役立っています。やはり、メールやチャットだけでは正確に伝えきれない部分はあるかと思いますので。ちょっとした雑談もしやすくなったと社員から評価を得ています」(小室氏)
2022年6月にZoom Phoneを導入した松井証券では、導入前に懸念されていた機器管理負担の軽減、証券業務ならびにコールセンターの事業継続性の強化、ハイブリッドワークの利便性向上といった課題を解決することに成功しました。今回、選定から導入までを一貫して担当した小室氏は、今後の展開について以下のように語ります。
「今回、NRIの担当者さんにも協力していただきながら、さまざまなクラウドPBXソリューションを比較検討させていただきました。Zoom Phoneは、機能・セキュリティ・サービス継続性(DR対策)それぞれが高いレベルのサービスであるため非常に満足しています。クラウドサービスですので、機能改善が入ることでより良いソリューションに進化していくことを期待しています。」(小室氏)
会社名 | 松井証券株式会社 |
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住所 | 〒102-0083 東京都千代田区麹町1丁目4 |
従業員数 | 168名(2022年3月31日現在) |
業種 | 金融 |
URL | https://www.matsui.co.jp/ |
(※1)米国Zoom Video Communications Inc., の日本法人、ZVC JAPAN株式会社が提供
コロナ禍を契機にテレワークやハイブリッドワークが推進される一方で、オフィスの固定電話の着信対応をどうするか、また従業員間の内線通話をどうすればよいかに悩む企業も多いでしょう。そうした課題を解決するために、これまでIP-PBXを活用していた野村総合研究所では、クラウドPBX機能を提供する「 Zoom Phone 」の導入を開始しました。
Zoomプラットフォームを利用したクラウド型電話サービスです。
使い慣れたZoom アプリ上で電話の発着信が可能で、設定も操作も非常に簡単。
別のアプリをインストールする必要もありません。
「Zoom」の会議室版である「Zoom Rooms」は、役員室・応接室から大きなセミナールームまであらゆるサイズの会議室に対応可能なテレビ会議室システムです。
大画面で画面共有し相手の表情も確認しながら、あたかも同じ場所にいるような臨場感のある会議が実現できます。