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野村総研からの提言

【第10回】ITサービスマネジメントの観点から [更新:10/05/28]

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徳地 隆弘
株式会社野村総合研究所
主席システムコンサルタント

サービスデスクを活用した、インシデント・ライフサイクルマネジメント

ITサービスマネジメントにおいて、多くの場合最初に取り組むのがインシデント管理ではないでしょうか。しかしながら、実際の活動においてはインシデント情報の収集そのものが目的化してしまうという事例が多く見受けられます。


数年前のITILブームの際、さまざまな企業がインシデント管理の導入から始めました。
全インシデントを記録し、分析、改善することで、インシデントを削減し、品質を向上させるというものでした。現在の状況は如何でしょうか?収集したインシデントを業務改善に活かし、運用コストの削減に結びついたお客様もいらっしゃいますが、大半はインシデントを収集したまま、になっているのではないでしょうか?


私どもはエンドユーザからのサービスデスクに寄せられる、インシデントをひとつのライフサイクルとして捉えています。ライフサイクルによる継続的な改善活動により、インシデント管理そのものの成長が不可欠であると考えます。

図1

インシデント・ライフサイクルマネジメントを実現するサービスデスクの機能とは?

前述の成長するインシデント・ライフサイクルマネジメントのために、NRIはサービスデスクの在り方を提言致します。

貴社のビジネス戦略に対してITが貢献していくにあたり、サービスデスクは重要な役割を担います。これは、ITILに則したIS活動ではサービスデスクが一番ユーザ側に近く、サービスオペレーションの中核となるためです。ユーザの利便性を高め、ビジネスの成果を最大化するようIS活動を推進するには、単なるインシデント対応窓口から脱却して、従来のヘルプデスクからサービスデスクへ進化すべきです。

一般的なヘルプデスク

  • 労働集約型のインシンデント対応処理が中心
  • ヘルプデスクの目的は、インシデントの受付キャパシティの拡大、インシデントの応答時間短縮(一次回答率の向上や一次回答時間の短縮)

NRIが推奨するヘルプデスク(サービスデスク)

  • サービスデスクの目的は、インシデント発生を抑制してユーザがビジネスに専念する時間を拡大することです。
  • 各サービスプロバイダ(SP)がプロアクティブに問題解決を行うために、サービスデスクがITILに即したインシデント管理と問題管理の運営を行います。
図2例

インシデント・ライフサイクルマネジメントが実現する経営改革

サービスデスクによる、インシデント・ライフサイクルマネジメントの実現により、弊社お客様にて、以下のような効果が確認されています。

詳細は、運用から経営改革を実現する展望として、「PC運用セミナー 2010 Spring」にて、サービスデスクを活用したPCインシデントライフサイクルの改善例を御紹介致します。

>>http://www.pcls.jp/exy/event/evn100604.html

1)経営への視える化

  • プラットフォーム上にデータを一元的に記録管理し、経営向けにリアルタイムKPIを発信
  • 豊富なコンサルティング実績やアウトソーシング経験から、IS部門のパフォーマンスをベンチマーク評価し、有効性や効率性を視える化
  • IT統制の有効性も向上

事例:IS部門の定量的な目標設定を実現(製造業 Z社)

2)コスト

  • インシデント対応処理方法を見直し、1件あたりのコストを削減
  • 「標準変更」化、自動化を推進し、変更・リリース1件あたりのコストを削減
  • ITベンダーの統制・管理を共通プラットフォーム上で標準化して、パフォーマンスを視える化

事例:ベンダコストの適正化(金融業 Y社)

3)品質

  • 障害インシデントを記録し、徹底的に問題管理プロセスで障害撲滅活動を推進
  • 変更・リリース管理プロセスで、事前レビューを受入れ基準に基づき実施し障害削減
  • 「サービスデスク」を中心に、ユーザ視点でプロアクティブにインシデント削減に取組む

事例:重要度の高い障害を2年で半減(製造業 X社)

    ユーザ満足度が1ポイント以上向上(製造業 X社)

4)デリバリー

  • ITサービスを体系化・メニュー化し、ユーザリクエストに対する納期やコストの明示
  • ユーザ向けのサービス受付を「サービスデスク」に統合し、各種ITサービスの担当ベンダーと共通プラットフォームを通じて連携

事例:ヘルプデスクの統合化によるコスト削減(金融業 A社)

    PCの申請から設置までの期間を短縮(製造業 Y社)

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